愛しい人~出逢いと道標~

ちゃんと面と向かって礼を言いたい


掠れた声を聞いて、不意にその思いは私のなかを支配していった。


「なあ、今度はいつこっち来るんだ。

また乗せてくれとは言わないけど、少しだけでいいからお前と話したいんだ」


礼を言いたいのなんて建前だけの口実で、本当はただ単に入瀬に会いたいだけ・・・

はたから見ればそう見られるだろうし、実際に私自身もそうだろうと思う。

だけど、礼を言いたい気持ちもあるのだから、私を支配しているこの気持ちは決して嘘ではない。