愛しい人~出逢いと道標~

車は予想した距離よりもかなり多く走り、隣の県まであと十キロほどのところのコンビニまで来た。

大型トラック用の大きな駐車場があり、そこに一台のトラックが停まっていた。


「俺が連れていけるのは、ここまでだな」


二人ともトラックの方に視線を向けながら、次の言葉を出さずに黙りこんだ。

いや、私は出さないのではなく、次の言葉が見つからずに出せないでいた。


「お前・・・」


言葉を探しつつも、車を降りる準備をしていたとき、入瀬が先に言葉を発した。


「歌・・・

真剣にやってみろよ。

そんな簡単に言うことじゃないことは分かっているし、かなり難しいのもわかっているつもりだ。

だけど、あんなに上手くて、それでいて歌うことが好きなら勿体ねえよ」


「・・・

考えとく」


全く考えたことがないわけじゃなく、考えてもすぐに消え去っていった答えだった。

でも、もしかしたら・・・



もしかしたら、これから先は消えずに残るかもしれない。



もしかしたら、一歩ずつ向かっていけるかもしれない。