愛しい人~出逢いと道標~

それからしばらく沈黙が続いた。

小さい音量のラジオとトラックの走る音だけが車内に流れていく。



どこに行くのか?



何のために行くのか?



当然そういった質問がくるだろうと思っていただけに、この沈黙は意外であり、家族と食事のときの沈黙とは違って何故だか妙に心地よかった。


「乗せるうえで二つだけ約束してほしい」


先ほどと同じコンビニの店に着くと、男の人はゆっくりと聞き取りやすい声で言った。


「俺がトラックから降りるときは一緒に降りて。

疑っているわけじゃないけど、財布とか仕事のものとか入っているから、防犯のうえでこれだけは絶対に守ってほしい。

もう一つは・・・

それはまた言うから、いいや」


こちらのほうが乗せてもらっているから守らなければいけない。

守らなければいけないというよりは、そんなこと当たり前のことだと思うが、律儀というか優しいというか、ただのお人好しなのか『疑っているわけじゃないけど』と言ってくれるとは。

だけど、その言葉で男の人に少しだけ親近感がわいた。