恐怖に全身を支配されて、もうわたしは動けなかった。 脚はカタカタと震えるだけで、歩いてくれない。 早く、ここから逃げないと…!! 「迎えに来たよ」 その声に、わたしは戦慄した。 「その声、さっきの…」 後ろから、抱きすくめられる感覚。 声は耳元でふっ、と笑った。 「覚えてくれたんだ、嬉しいねぇ」 そのまま男は、右腕を大きな絵に向かって差し出した。