「まあ、とにかく楓ちゃんに手を出さなければいいわよっ」
「出さないって…」
「じゃあ楓ちゃん、私まだしばらく帰れそうになくて申し訳ないんだけど、澄と仲良くしてやってね」
「……え?!あ、はい!!こちらこそ、これからお世話になります!宜しくお願いします!」
結局、ちゃんとお話できなかったけれど、山田さんは元気そうで良かった。
挨拶も出来たし!
こうして、私たちは病院を後にした。
車の中、なんとなく話しづらくて沈黙が続いていた。
うう、気まずい……何か話題ないかな…。
「なんかごめんね」
「…えっ?」
話題を考えていたら、杉本さんの方から話しかけられた。
「確かに、山田さんの言う通りかもしれないけど、楓ちゃんの前でくらい大人の振る舞いしたかったんだ。だから、落ち着いた態度とってたんだけど」
「そんな…十分大人じゃないですか」
「いや、実際はまだまだだよ。俺、これでも大学生だからさ……ちなみに23歳」
「え!?…あ、すみませんっ」
す、スーツ着てたしお勤めで、25歳かと思ってた…!
「いいよ、そう見えるようにしてたんだから」
そう言って、杉本さんは笑った。