「片付けの方はどう?」
「あ、もう終わりました」
「そっか。お疲れさま。もし良かったらさ、明日山田さんのお見舞い行くから一緒にどう?」
「い、行きます!ご挨拶しないと…」
「よし決まり。明日は楓ちゃんとデートだ」
「え……ええ!?」
杉本さん……なんかよく分からない人だ。
いい人なのは、確かなんだけど。
「よーし完成!ご飯にしよ」
「は、はい!」
初対面なのに、二人で食べたご飯はとても美味しくて、楽しかった。
「さて。今日は疲れただろうしゆっくり休んで」
「え、でも片付けくらいは…」
「いいからいいから、ね?」
ね、って…可愛く言われたら断れない。
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
食器を片付ける杉本さんの背を見ながら、私は再び洗面所に行き、歯を磨いてから部屋に戻った。
なにこれなにこれ…!
今日一日、ずっとドキドキしてた。
初対面なのに接しやすかったな…。
私は一人っ子で、ずっとお兄ちゃんお姉ちゃんに憧れてた。
お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな…?
新しい生活、これからどうなることやら…。
そんな思いを胸に、私は眠りについたのだった。