「部屋はここって、山田さんが言ってたよ」


杉本さんに案内されて部屋に入ると、広めの部屋で、真ん中辺りに事前に送っておいた私の荷物があった。


「女の子が来るって、山田さん張り切って運んでたよ」

「…もしかして、腰痛の原因って…」

「……あ。ごめん!楓ちゃん気にすると思って言うまいとしてたんだけど…まあ歳も考えずに無理したからだよ」


す、杉本さんいきなり辛辣…。


「それはともかく、学校っていつから?」

「明後日、です」

「そっか。楽しみだね」

「うう…私人見知りなので……」

「そういえば、玄関先でそんなこと呟いてたね」

「あ」


恥ずかしくなって俯いた私を、杉本さんはくすくすと笑いながら私の頭を撫でた。


「大丈夫大丈夫。さっき会ったばかりの俺とだって、こうして話できてるんだから。じゃあ俺、居間にいるから、何かあったら呼んでね」

「ありがと…ございます」


パタン、と部屋の戸を閉めて、先程撫でられた頭に両手を乗せた。

初めて、父以外の男の人に撫でられた…。

ドキドキ。ばくばく。


この気持ちはなんだろう…?