雷藤は八ノ下町(はのしたちょう)の八ノ下第一中学校(はのしただいいちちゅうがっこう)の三年生、、、いわば受験生だ。

「はあ。受験ね~。」

雷藤はあまり頭が良くない。つまり、バカだ。

「バカじゃねえ!!ちょっとあれだ、、、。才能が開花してないだけだよ!」

雷藤はぶつぶついいながら学校に向かった。

雷藤の一番の楽しみは部活後の下校の時間だ。雷藤には、四人の幼なじみがいた。

「おせえぞ!勇気!!」

少し乱暴な口調の炎明寺 明(えんみょうじあきら)。髪の毛の先が何故かいつもひょろひょろと立っている。意識しているのか自然にしているのか誰も知らない。頭は雷藤よりは良い。

「まったく。大分待ったぞ。」

いたって普通の口調の風崎 涼(かぜさきりょう)。髪の毛は三束ほど横に流れている。明らかに自分でセットしている。五人の中で一番背が低い。頭は雷藤と同じぐらいだ。

「何分待たせていると思っているんですか?」

何故かいつも敬語の氷間 雪也(ひょうませつや)。髪の毛は腰のところまでのびていて、ゴムで束ねている。頭は雷藤と風崎、炎明寺よりは良い。

「13分32秒待たせたな。まったく。何様のつもりだ?」

いつも正確で、少し上から目線口調の真島 刃(まじまじん)。髪の毛は前髪の一束が目の下まで伸びて、それ以外はつ柔らかい感じにつんつんしている。五人の中で一番頭が良い。

五人の下校は不要物のオンパレードだ。

雷藤、炎明寺、風崎の三人はPLP(パーマネントライトポータブル)でママさんハンター(近所のおばちゃんが、近所にいる不良の子どもをいい子にしていくゲーム。ちなみにボスは、飲んだくれたおばちゃんの夫)を通信プレイしている。

氷間と真島は電子辞書で調べものをしているか、携帯でグループチャットを作り、色んな人たちとシャーロックホームズについて語り合っている。