ドラゴンボーイと私。(仮)

メールを送ってから、10分後に先輩が私の教室にきた。

教室には、まだ何人かの生徒が残っていた。

「ここで、できる話じゃないから、場所を移してもいい?」

「分かりました。」

私と先輩は、校舎から出て人気のない路地に行った。

「櫻井、今日は呼びだしてごめんね。」

「…いえ」

「俺さ、龍星がいるの知っててあんなことしたんだよね。龍星と付き合ってるってのを、友達から昨日、聞いてさ。今日、あの車両に乗ったんだ。櫻井が電車に乗ってきたとおもったら、泣きそうな顔してた。だから、つい抱きしめちゃった。俺さ、櫻井のこと好きなんだよね。櫻井、2年になってから、痩せたじゃん!俺、そのころから、櫻井のこと、気になり始めたんだよね。ていうのは、嘘。本当は、痩せる前から気になってた。デブのくせに、よく動くなって思って、いっつもみてた。最初はね。そのうち、櫻井のことが頭から離れなくなったんだ。で、俺、櫻井のことが好きなんだって気づいた。話すきっかけが欲しくて、それで、陸上部に入った。ゆっくり、俺のこと、好きになってもらおうって思ったりしてた。でも、気づいた時には、龍星と付き合ってた。俺は、今日、櫻井を抱きしめたこと、ちっとも悪いと思ってねぇ。櫻井が好きだから。だから、今からすることも謝らねぇ」

今からすること?

「なんで…」

なんですか?と言おうとしたら、唇を塞がれた。

何が起こっているかもわからず、ボーとしていると、

先輩の唇が離れていった。

「先輩、何するんですか?」

「キス!」

「もう、先輩なんてしらない。」

何なの?

龍ちゃんともキスしてないのに…

走ってその場から逃げようとした。

けど、先輩に、腕を掴まれた。

「俺、悪いとおもってねぇから。俺はお前が好きだから。龍星と別れて、俺と付き合って!」

えぇぇぇぇ!

先輩、私のこと好きだったの?

「えぇ?先輩って私のこと好きだったんですか?」

「キスする前に、何回か言ったんだけど…」

えぇぇぇ!

聞いてなかった…

「すいません…聞いてませんでした。」

「だと思った。だから、キスした。」

「ほぇ?」

「はっははは。何その声!どう頑張ったって、これじゃ俺に、振り向いてくれないね。
龍星と話してこいよ!」

「えっ?」

「だぁかぁらぁ、俺のこと、振ったんだから、龍星と話して仲直り?してこい!」

「……」

「早く、行った行った。」

先輩に背中を押されて、龍ちゃんにメールした。