ドラゴンボーイと私。(仮)

そう思っていると、

穂乃梨が消えた。

よく見ると、誰かに抱きしめられていた。

俺は、ただ黙ってみていることしかできなかった。

「龍星、行かなくていいの?」

未来が、笑いながら俺に聞く。

行けるわけない。

俺のせいだから。

でも、穂乃梨がほかの男に触られているのは、見ていられなかった。

今にも、その男を殴りそうだった。

でも、今の俺にはそんな権利なんかない。

よく見ると、穂乃梨を抱きしめている男は、俺の友達だった。

後ろ姿しか見えないけど、あれは絶対、乃流(ないる)だ。

乃流とは、中学の時からの友達だ。

穂乃梨と同じ学校で、俺より身長が高い。

それにストレートヘアーに茶色がかった髪、そんなの、乃流しかいない。

でも、なんで乃流が穂乃梨を……

俺の頭は、ハテナマークと乃流への嫉妬心でいっぱいだった。


(穂乃梨Side)


その人は、私と同じ高校の先輩だった。

つまり、龍ちゃんと同い年。

しかも、私の入っている部活の先輩だった。

なんで先輩が?
私を抱きしめてるの?

今にも出そうだった涙は、いつのまにか止まっていた。

「ぁの~、安藤先輩?」

「ん?何?」

「何って…そろそろ、離してもらえませんか?」

「なんで?」

なんでって?

「ここは電車の中ですよ!しかも、私、彼氏いるんですよ!
だから、離してください。」

先輩の手を振りほどこうとしたけど、まったく動かない。

さすが、ウエイトリフティング部と陸上部を兼部してるだけある。

じゃなくて!

先輩は、電車が終点に着くまで私を離さなかった。

おかげで、電車の中で注目の的となった。