先生と執事【続・短編】







先生の寝起きの悪さに腹が立ち怒った次の瞬間、グイッと身体がベットに引き寄せられた。






そして、私が目を開けた時には、ベットに引き寄せられた身体は力強くて暖かい先生の腕の中におさまっていた。






「おはよう、麻椿。」






驚く私とは逆に、爽やかに笑う先生の姿が目に映る。






「………最初っから起きてたの?」






「はははっ、ごめんごめん。どんな反応するかなって思ってさ。」






やられた、この忙しい朝に遊ばれるとは……。






「ごめん、もうしないよ。ただ、やってみて良かった。」






「何で?私が必死そうで面白かったとか?」






幸せそうに笑う先生に、少し憎たらしく言い返す。





それを感じたのか、先生はもう一度「ごめん」と謝りながら私の頭を撫でる。






その仕草に怒っている自分とドキドキしている自分が入り混じって、気持ちの整理が難しくなっていく。






「ねぇ先生?何で?」






先生が何に対してやって良かったと思えたかをもう一度問うと、先生は更に優しく幸せそうに笑った。






「麻椿の必死な姿を見れたのも良かったけど、一番は久しぶりに名前で呼んで貰えたからかな。」






「えっ……。」





「さぁ、もうそろそろ支度しないとまずいだろう。起きるぞ。」





「ちょ、先生まっ……。」





「あぁ、あともう一つ。」






「え?」





私をベットへと置き去りにし先に用意を始めていた先生が、真剣な顔をしながらもう一度私の方へと戻ってくる。







「朝から俺の服着てる麻椿が見れて嬉しかったよ。でも、誰にも見せたくないから着替えなさい。パン焼いて、お湯沸かしといてやるから。いいな?」








「は、はい……。」