平凡太~ヘイボンタ~の恋

処置室のドアが開いたのは、小一時間経った時だった。


「詞音…!」


病室には、ベッドの上で点滴された小さな詞音ちゃんが深い寝息を立てていた。


「先生…!」


「お父さんとお母さんですか?」


「ハイ」


動揺してる一華先輩の代わりにボクが答えると、看護師に医者の前の丸椅子に座るよう促された。


「熱痙攣ですね。小さな子供にはよくある事で、何も心配はありませんよ」


一華先輩の小さな息がようやく整う。


「念のため点滴して、今晩は病院で様子をみましょう。明日、異常がなければ退院していただいてかまいません」


「ありがとうございました」


ボクがお礼を言うと、ベッドごと眠っている詞音ちゃんを連れて小児病棟へ移った。