平凡太~ヘイボンタ~の恋

「違うの!」


「え…?」


「あたし…あたし、ね。自分の気持ちを確かめたかったの」


「気持ち…?」


「うん…。あたしが欲しいのは誰なのか、『友詞』似の夫が欲しいのか、『友詞』の代理をしてくれる詞音のパパが欲しいのか、それとも全く別の無難なパートナーが欲しいのか…。お見合いの話を平太くんにして遠ざかれて初めて思い知ったの。あたしは…あたしの純粋に好きな人が欲しいんだ、って」


「好きな人…ですか…」


「バカみたいよね。根本的にズレてたの。人が愛を求めるのに理屈なんていらないのよ、ね。あたし友詞を失ってから心がアンバランスで…。見たいもの、見るべきものが見えなくなってたの…」


「見えなかったものは…見つかったんです、か…?」


「うん。昨日、友詞の両親に全て話したの。友詞を失ってからのあたし、平太くんとの出会い、もうあたしの中に友詞はいない事、あたしに必要な人、詞音にとってかけがえのないパパの事…。それは、やっぱり…」