平凡太~ヘイボンタ~の恋

タクシーを降りて、一華先輩の家のチャイムを鳴らした。


「はーい。詞音?ちょっと待っててね?」


───カチャ


ドアの隙間から、ボクは待てずに一華先輩を抱き締める。


「平太…くん…?」


「一華先輩、ゴメン…」


強く、強く抱き締める。


この想いがどうか。


伝わってほしいと、そう願って。


「平太くん…」


「話、聞いてくれます、か?」


「うん…」


リビングに移動し、向かい合わせに座ったテーブルの上で、ボクは一華先輩の手を握り締めた。


大きく息を吸い、伝えたい想いを少しずつ組み立てる。