平凡太~ヘイボンタ~の恋

「はじめまして。記藤 みえ子と申します」


「あ、ボクは…」


慌ててポケットから名刺を取り出そうとすると、


「佐藤 平太さん、ですね?」


「あ…ハイ」


上品な笑顔を作った記藤さんは、運ばれてきたばかりの詞音ちゃんのココアに、氷を1つ、入れた。


「もうお分かりかと思いますけど、友詞の…母です」


「ハイ…」


ボクはメガネを指で押し上げ、友詞さんのお母さんと詞音ちゃんを交互に見た。


「えっと…今日はどうしてここに…?」


「詞音が」


「ハイ」


「クリスマスのプレゼントの話をしてたんです。何が欲しい?って聞いたら、堰を切ったように泣き出して…。へーたパパが欲しい、って泣いてしまって…。ご迷惑だとは思ったんですけど、会社の方へ伺わせていただきました」


「そうだったんですか…」