平凡太~ヘイボンタ~の恋

『もしもし…?』


「栞?」


『平太先輩!どうしたんですかぁ?』


「体調、どう?」


『少しつわりが出てきた頃なんですぅ。でもこれってお腹の子が元気な証拠ですよ、ねっ』


「そっか。今、ちょっと話せる?」


『え?』


「宍戸係長が話しがあるって言うんだ」


『あの人とは…話せません』


「一言だけ。聞いてもらえないかな」


『平太先輩が言うなら…』


「じゃあ、代わるね?」


ケータイを宍戸係長に渡すと、2人きりで話をするため、係長は会議室を出て行った。


ちゃんと謝ってほしい。


「自分に責任はない。本当に自分の子かどうかもわかったもんじゃない」と。


ひどい暴言を浴びせた事を、ただ謝ってほしかった。


その一言のせいで栞は追い詰められたのだから。


そのせいで堕ろすとまで言わせてしまったんだから。


ボクも部屋を出て、自販機でコーヒーを買った。


同じブラックなのに、一華先輩のくれるコーヒーとは違う苦さに、心が窮屈になる。