平凡太~ヘイボンタ~の恋

「覚悟の上なんですか?」


「うん…。辻野が戻ってくれるんなら、オレは何もいらない」


「わかっているでしょう?栞は情報欲しさに係長に近づいただけです。栞に気持ちはないと思います。戻るなんて言葉は不適切かと」


「佐藤、頼む。償いだけでも受け取ってほしいんだ。ケータイ、呼び出してくれないか?」


「栞はきっと拒みますよ?」


「それでも構わない」


栞にとって、それがベストなのかはわからない。


新しい道を、子供との2人の道を選んだ栞。


でも、現実的な話、戸籍も経済的にも不安があるに違いない。


「悪かった」と。


その一言を栞に告げてくれるのなら。


栞の心の1つは少しでも軽くなるんじゃないか…?


ボクはケータイを取り出して栞の番号を呼び出す。


コール4回。