「ちょっと我慢しろよ」 「え?」 燈真はしゃがんで、あたしのサンダルを優しく足から外した。 「ゃ、あ、あのこれは……」 「やっぱな」 「へ?」 「久しぶりにヒールのサンダルを履く奴がいるかよ。今日歩くのに」 「……」 「もってて」 燈真はビニール袋から絆創膏だけ取り出して、マグカップをあたしの膝に置いた。 絆創膏を丁寧に優しく、あたしの小指に張る姿は、すごくかっこ良くて。 その優しさに、涙が出そうになった。