「そーいえば、高梨が桜木のこと探してたぜ?」

「たか、なし……?」

誰それ。

「お前……一年の時、同じクラスだっただろ?」

「えーそんなこと言われても……」

あたし、覚えてないし。

「あぁっ! 高梨くん! わかった! ほら、莉乃も知ってるはずだよ! バスケ部の子で、背は170ぐらいの」

「……んー」

「あんた同じクラスの子ぐらい、顔だけでも覚えなよ……」

「話したこともないのに、覚えられるわけないじゃん。……ん? ぁ、もしかしなくても、あたしの後ろの席で……」

「そいつ」

「……なんで? あたし、話した覚えないけど」

「知らないよ、そんなの」

高梨くん……うーん、まだ全然あやふや。

考えてると、後ろのドアから、「桜木!」とあたしを呼ぶ声がした。

見れば、たぶん……高梨くん。