放課後になり、帰ろうと下駄箱へと向かう。
……さて、行こうか、行かないか。
真梨子は部活行っちゃったし……。
下駄箱で立って考えていると、後ろから「邪魔」と低い声が聞こえた。
「……燈真」
「なにその紙」
「……手紙」
「ラブレター? 古っ。振られるぞ、確実に」
「あたしがあげるんじゃないの。もらったやつだし」
「……ふぅん」
「まぁ、あんたなら毎日もらってそーだよね」
「……これ、やる」
「?」
燈真はあたしに田代先生からもらった結婚式の招待状を無理矢理渡してきた。
「ちょっ、これあんたにでしょっ?!」
「いらねー」
「お祝いしてあげなよっ!!」
「……俺が欲しいのは、結婚式の招待状なんかじゃねーんだよ」
「はぁっ?!」
燈真は少し早歩きで帰っていった。
「……どーすんの、これ」
あたしが行けるわけないし。
ったく……燈真のバカ。
校舎裏、行く気なくしたじゃん。
あたしは小さくため息をついて、自宅へと向かった。