バカだ、あたし……っ。
『あれ? 萩野、制服のズボン汚れてるよ? 転んだの?』
『少し通った道の水たまりが飛んだ』
全然、気づけなかった。
……あいつの、優しさに。
玄関のドアを勢いよく開けて、ローファーを脱ぎ捨てる。
リビングのドアを開ければ、萩野がソファにいつものように座っていた。
「……萩野っ、ありがとう!!」
「はぁ?」
「これ、ありがとう!」
「……たまたま見つけられたから」
「ありがとう!!」
「……おい」
溢れ出す涙が止まらない。
「……泣かれると困るんですが」
「うん、ありがとう」
「あのな……」
「だって、感謝のキモチを伝える言葉、これしか知らないもん!
萩野、ありがとう!!」
「……どういたしまして。感謝してんだったら、早く泣き止んでくんない?」
少し頬を赤くしてる萩野は、素っ気なくそう言った。

