……どのくらい、たったかな。
さっきの場所はなかったから、違う場所に移動してみたけど、全然見つかんないし。
頭も、クラクラしてきた……。
「おい」
「……はぎ、の?」
「なにしてんだお前。一人宝探しでもしてんのか?」
「……そうだけど、なにか?」
「はぁ? 傘もささずに?」
「……」
「……おい。お前、いつからいるんだよ」
「別に関係ないでしょ。悪いけど、今日も自分でご飯作って。しばらく帰れそうにないから」
「……何探してんの?」
「……かたみ」
萩野は目を丸くして、あたしを見る。
「お父さんからもらった、唯一の誕生日プレゼントなの」
あたしが生まれて、一年で交通事故で死んでしまった。
子供の頃から今まで、ずっと大切にしてきた、宝物。
「ファザコンだって、笑いたければ笑えば?」
小学生の時、何度も男子にバカにされた。
『ファザコンじゃんっ』って。
それでも、あたしの大事な宝物だから。今までずっと、身につけてきた物なんだ。

