「泣き虫ってのは、意外な一面で、可愛いと思ったし」
「う、うぅ〜っ」
「好きな女を、海みたいな野郎ばかりのとこに連れて行くかよ。遊園地とは比が違うんだぞ」
「うん……っ」
「こちとら、本気で好きな女とつき合うのは初めてだし。ましてや、俺より年上の女を誘うのだって、結構勇気いるし。まぁ……不安にさせてたんだったら、悪かったよ」
「ううん……っ」
だって、今……
その不安は消えたから。
「あの人のことはもう、吹っ切れてる。
だから、自信もてよ。
ここまで聞いて信じらんないとか言うなよ。
お前のことで俺はいっぱいだし、
俺はお前が好きだよ」
そっと引き寄せられる。
「莉乃」
初めて、あたしの名前を呼んでくれたね。
それだけで、涙がでてくる。
目を閉じた瞬間、
唇が重なった。

