「こ、こ、これっ、あたしが無くしたやつっ!!」
「覚えてたのか、これ、空から飛んで来たぞ」
「忘れようとしてたのっ!!」
高校一年の一学期、期末テスト。
初めて赤点をとったテストだ。
「な、な、なんであんたが持ってんのっ?!」
「言ったろ。飛んで来たって」
「あんた入学してないでしょっ?!」
「高校見学。夏休みになんて行ってらんねーし、校門だけでも見とこうと思って行ったら、上からそれが飛んで来た」
「……な、なんで学校に返してくんなかったのよっ!!」
「何お前。赤点のテスト用紙を学校に返して欲しかったの? こんな恥ずかしい紙を」
「赤の他人に見られて取っとかれる方が恥ずかしいっつのっ!!」
「まぁ、とっとく奴なんてそういねーな。自分のだって間違えられたら嫌だし」
「……確かに。じゃあ、なんであんたは持ってたの?」
「……これ、顔に飛んで来たんだよ。俺は古典なんかで赤点取る奴の顔を見たくて、飛んで来た方を見た。そしたら、お前がいた」
「? あたしは見えなかったよ?」
「お前の方からは死角だったんだよ。……ぶっちゃけ、かなり顔が好みだったのは覚えてる」
「ふぅん。……へっ?」
な、なに。
今かなり、すごい爆弾発言したよねっ?!
顔が……好みっ?!

