「ねぇ燈真」
「なに」
「今度どっか行かない?」
「どこに?」
「……そこは一緒に考えようよ」
「お好きなところにどうぞ」
……こういうところ、燈真っぽいけど。
けど、少しでも一緒の時間を味わいたいっていう乙女のキモチもわかって欲しい。
以前のあたしなら、きっとこんなこと思わなかった。
乙女、なんて言葉を絶対使わなかったし。
「……じゃあ、海」
「却下」
「えー好きなところで良いって言ったの燈真じゃん」
「俺が嫌いなんだよ、海」
「なんで? 綺麗じゃん」
「人が多い」
「……それだけ?」
「それだけ」
「嘘」
「嘘つく理由がないだろ」
「だって、遊園地も同じぐらい人多いじゃん」
しかも、遊園地に誘って来たのは燈真。
人混みが嫌いなら、誘ってこないはず。