その日の夜、一通の電話がかかってきた。

──プルルル

誰だろ……。

「はい、桜木です」

『ぁ、莉乃? お母さんだけど』

「ちょっ、電話超遅いんですけどっ!!」

『ごめんね〜。莉乃、萩野くんと上手くやってる?』

「……まぁ。今もう、あいつ帰ったけど」

『そうなの? じゃあ今一人?』

「うん、そうだけど……。帰ってくんのいつ?」

『あと5日ぐらいよ。お土産、楽しみにしててねっ♪』

「ぷっ、はいはいっ」

『莉乃、一人で寂し?』

この質問、きっとお母さんはちょっと冗談で聞いて来たんだと思う。

でも、なぜか……あたしの瞳からは、


涙が溢れ出した。


「うん……ッ、すごい、寂しい……ッ」


一人は、寂しいよ。