その日は、いつも通りには行けなくて、遅刻ギリギリの時間になってしまった。

「やばっ」

駆け足で校門に入れば、ちょうど、ゆっくりと歩いている燈真。

「……はよ」

「……おはよ」

燈真はスタスタと下駄箱へと向かってしまった。

……今まで、どうやって挨拶してたっけ、あたし。



……あんな冷たい目、見たことがなかった。




鋭くて、冷たくて、

他人を見るような目。





「……ッ」


思ってたよりも、ずっと辛い。

知らなかった。



好きな人からの冷たい目が、





こんなにも辛いなんて。