「……離して」
あたしがそう言えば、燈真はあたしの上から退いた。
「……ばいばい」
あたしはそう言って、自分の部屋に駆け込んだ。
「うっ、うぅ〜っ」
ドアを閉めた瞬間に、溢れ出す涙。
あたし……上手かったよね??
上手に演技できたよね??
あの時のキモチを、誤摩化す方法は、これしか思いつかなかった。
あたしのキモチを、彼の頭から忘れてもらうには、これしか考えつかなかった。
彼を、傷つけるしか……。
ごめん、燈真。
ごめんなさい。
その日、あたしは声を出して泣いた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…