出会いは最悪だった。
お母さんの言いつけを守って、寄り道なんかしなければ良かったと、今更ふつふつと後悔が押し寄せる。

─それは、ある晴れた日曜日。

今日のように、お婆ちゃんの家へと向かった私は、つい、ふらふらと花畑へと足を運んだ。

ただ、バカみたいにじゃなくて、お婆ちゃんに花冠のプレゼントをしたかった。

バスケットを木の陰に隠して、夢中になって花を摘んだわ。

そこに現れたのが…

「ルフお兄ちゃん?」

「そう、そのルフ、口の周りにバターとジャムをたっぷり付けた、ね」

「えー、お前、まだあの事根に持ってんの!?」

むかむかと込み上げる怒りを最小限にこらえて、話を続ける。

「唖然としたのと、恐怖心とで、そこに留まった私に、何て言ったと思う?
『美味かった、おかわり』よ、本当もう、信じられない!」

「おう、あの時の顔、凄かったぞ」

そこで、赤頭巾の“狼”に対する価値観が変わった。

そして、ルフが赤頭巾に付きまとうようになったのだ。

「…何だか、あなた達、痴話喧嘩でもしているみたいねぇ」

お婆さんのその言葉が、赤頭巾にとどめを刺した。