「お姉ちゃんはどこへ行くの?」

「お婆ちゃんのお家よ」

二人手を繋いで歩くと、まるで姉弟みたい。

「バスケットには何が入っているの?」

「サンドイッチとオレンジジュースよ」

お婆ちゃんはどんな人?優しい?サンドイッチってなに?と、様々な質問を全部笑顔で返した。
一人っ子の赤頭巾には、それが嬉しかった。

小川の橋を渡り切ると、よく見知った人影が現れた。

「ルフお兄ちゃん!」

赤頭巾が名を呼ぶ前に、彼は人影に向かい駆けだした。

「お兄ちゃん?」

年の頃は、赤頭巾より少しだけ大きく、背は大分大きい。
鋭い眼差しだが、垂れているため、冷たさは感じさせない。

「のわっ!カイル」

小さな少年はカイルと言うらしい。

「へえ、貴方の弟だったのね」

ルフとカイルが兄弟だなんて、よく考えれば分かることだったのに。
耳と尻尾が何よりの証拠だ。

「弟じゃねーよ、従兄弟だ」

「そう言えば似てないわね」

ルフは、ふん、と鼻を鳴らすと、大きなバスケットに目を付けた。

「野イチゴジャム、バター、照り焼きチキンってトコだな、当たりだろ?」

当てられたことが悔しくて、

「バターじゃなくて、マーガリンよ」

ついつい、嫌みを言ってしまった。