「こんにちは、あなただぁれ?」

呼び掛けたその人は、赤頭巾よりも少し幼く見えたが、そんな考えを吹き飛ばすほどに不思議な格好をしていた。

人間の形はしていたけれど、犬みたいに尖った耳、ふさふさの尻尾があった。

「ふぇ、ごめんなさい、ごめんなさい」

か細い声で謝る声に、邪気は無く、ひどく哀れに思った。

「何があったのか知らないけど、大丈夫だよ」

「う、うん、ありがとう、お姉ちゃん」

ぱあっと笑う顔は、まるで花が綻ぶみたい。
そんな風に思った。
泣いていたから分からなかったけど、綺麗な顔をしている。


「あのね、僕、迷子になったの、帰り道も分からないの」

ぎゅっと服の端を摘んだその子を放すわけにもいかず、手を取って歩き出した。