桜花火





自然が生み出す
その幻想的な風景は、私の思考をも一時停止させた。


まるで時が止まってしまったように、
私はそこに立ちすくんだ。


「――ょ、小夜ってば!!」

「ぅわあっ!??」


急な呼びかけに振り返ると、そこには見慣れた顔が立っていた。



「何ボーッとしてんの?」

「あぁ、奈々か…。びっくりしたぁー…」

「そんなに驚かなくても…」

「ごめんごめん…」



そこにいたのは、今日一緒に学校へ行く約束をしていた
幼馴染みの
村山 奈々 ( ムラヤマ ナナ )だった 。





奈々とは、中学時代もほとんど毎日一緒に登校していた仲だ。