縁側では家族が揃い弔問客の接待に明け暮れていました、

本当は密葬で誰にも知れずにやりたかった

と言うのが本音だと後では人伝に聞いたのですが、

その時も彼女の遺影に対面してしまうと、心がただただ

涙が流れるのみで何をしたら良いのかも分らずに

お焼香を済ませ立ち尽くしていました。

そんな時近づいてきたのが一番上のお兄さんでした

「ありがとう来てくれたんだ?」その言葉だけで

充分でした、

目は真っ赤に充血していて一睡もしていないのではと

思われるくらいでした。

彼女の事を可愛がりドライブにも何度となくつれて行き、

好きな事は全て許していただろうと思い。

そんな貴方にはただ頭を下げるのみでしかありませんでした、

彼女のお葬式は大げさに伝わらないようにお願いした

らしいのですが、彼女の明るい性格とその突然の死に

沢山の方が集まってしまいました。

小学、中学、高校の同級生と思われる子達、

ご近所の仲の良かった方たち。

そんなみんなに囲まれ式は順番通りに進んで行きました。

そして悲しいお別れの時!そうご家族が一人ずつ釘を打つ、

いえその前に彼女のの好きなものを棺の中に入れてお花で

埋めてというセレモニーがありました。

まさかそんな中に自分はと言う思いで遠くから見ていた

自分でした、友達、ご近所、親族、家族と済んで

最後の菊が一輪残っていた。

その花を一番上のお兄さんが

「ぜひ喜美にあげてください喜びます」と私に向かって

青天の霹靂のような一言、考えも及ばず

重い足を一歩づつ進めやっとの想いで手向ける事が

出来ました。