私小説     若葉の想い   

逢える事のない貴方に捧げる…


私小説     若葉の想い      紫苑


  第一章   失意と偶然と慟哭

こんな若葉が芽吹く季節になると思い出すんです、そしてついに

ニ十有余年経った今何故か何か書かなくてはとの想いと疑念を抱き

ほんの少しの懺悔と彼女への想いのほどを確かめたくなり、そして想いが

彼女を消し去るものかどうかと言う気持ちをほんの少しだけ抱いてレクイエム

のような気持ちで書いています。おーい何で何だよ一言ぐらいは何か言って

からでも遅くは無かったぞ!それなのになぜか彼女はあの時ついに何も言わずに

逝ってしまったのか?そう二人で二日後に映画を見に行く約束さえ果たせずに

何もしゃべらずに私の前からそしてみんなの前から消えてしまった!

と言う事実のみを残し彼女に淋しさ、

悲しさ、そして遣り残した事を少しの文章で綴りたい気持ちに

かられ、心の中を吐き出すつもりで書いています。貴方の心は分りません?

私一人の気持ちですどうか許してください。

ちょうどその日はその当時マイナーなレースとして殆どの方は知らずに新聞の

片隅にしか載っていないようなそんな普通の車を改造して走るそんな

ストックカーレースの神様として信じられていた鈴木誠一さんと言う方が

突然に亡くなった日だった。

それを知った同じ日の深夜に偶然は始まり悲しみは続いたんです。

そんなまさか一日に続けて2度目の不幸を自分の目で見る?とは

考えてもいませんでした。

ちょうど喫茶店のバイトが終わり車に乗りこんだのが午前〇時頃のように

覚えています。