そう言いながらも、翼から目を離せない。

凛と壇上に立つ姿に目を奪われた。

「海ちゃんさぁ惚れちゃったの?」

また陽に話し掛けられる。

…惚れた?
俺があいつを?

なんか違う気がする。

一度しか会ったことはないし、向こうは覚えてるかも疑問だ…

「いや、そんなんじゃねぇ」

考えた末、そんな風に答えるしかなかった。

俺とあいつは何でもない。

そう思ったらなぜか、ズキッと胸が痛んだ。