翼は気付いていなかった。 驚いた表情で翼を見つめる人物に。 「あ…あいつ」 「ん?海ちゃん、どうしたの?」 「えっ?あぁっあいつ…見つけた」 そう、あの日…真冬の海で翼を助けた海翔だった。 「マジ?!あんなに探して見付からなかったのに…あの娘かぁ」 隣に座っていた陽はまじまじと翼を見ている。 海翔も翼から目を逸らせなかった。 (生きてた…)