「く、苦しい..」
「それくらい我慢して下さい」
そんな事言われたって。
大体、あたし着物って苦手なのよね。
パーティーとかでも着なきゃいけない機会もあるんだけれど。
その度に着物って嫌だなって思ってしまう。
まぁ、でも
「似合ってるじゃん、なかなか」
鏡に映る自分の姿を見てぽんっとお腹を叩いた。
髪も長かったからかなんとかそれっぽく結んでくれた。
お時さんに感謝しなきゃね。
「あの、ありがとうございました」
深々と頭を下げてお礼を言うと、いえ、とだけ答え、それからそっけなく
「では、お嬢様の部屋にご案内いたします」
と言われてしまった。
「あ、ハイ!」


