「あら、大変」
雪さんは驚きながら口元に手をあててあたしの話を聞いてくれる。
「着物はあれ一つ、髪までこんなにされてしまって、おまけにお武家さまに追われていて..そんな私に佐吉さんが相談にのってくれて、ここまで連れてきたんです」
嘘も方便。
遂に泣きマネまですると、雪さんはあたしの肩をいきなり掴んで口を開いた。
「そのような事なら、私に任せて下さい!」
まっすぐ見つめるまなざしで一瞬胸が痛んだけれど仕方ない。
「ささ、こちらへ」
雪さんが先頭になって案内してくれるのをあたしと佐吉さんで着いて行く。
「お前今の話し本当なのかよ」
佐吉さんが雪さんに聞こえないようにあたしの耳元で囁いた。
「そんなわけないでしょう?でもあれが一番疑われずに済む方法なんですよ」


