だってこれは制服だし。


確かに家に戻って注文すれば新しい制服は手に入るけれど。


でもそんな事、簡単にしたくない。


「絶対に無理です!」


少し大きめな声で言うと、おかみさんは簡単にあらそう、と諦め店の奥へと行ってしまった。



ほ、なんとか助かった。


とりあえず早く着物を選ばなくちゃね。


えーっと、どれにしよう..


迷っていると佐吉さんと女の人が喋ってるのが見えた。


しかも会話の内容まで聞こえてくる。



「どういう事ですか!?ただでさえ厳しいこのご時世に、衣装を借りるなんて..佐吉さん、何かあったのですか?」


明らかに怒鳴っている女の人に対して、佐吉さんはただ慌てるような答えしか出来ない。


「いや、そういうわけじゃねぇんだ、でもこれには事情ってもんがあって..だな」


「何が事情ですか!?どうせ貰ったお金も全部使ってしまったんでしょう?大体必要なものならばいつも私が持って行ってるじゃありませんか!」