時計を見やると既に授業は半分を過ぎていた。 あたしってばつい昔の事を思い出してしまったわ。 そんな事を思いながらも、やっぱり視線は拓登の方を向いてしまう。 教卓のまんまえで熱心にノートを取っている。 この“ガリ勉”め。 心の中で小さく嫌味を言ってから仕方なく教師の声に耳を傾けた。 拓登の耳にはもちろん届いてはいない。 「王麗さんっ!」