申し訳なさそうに謝る。でもその人はあたしの腕を放そうとせず、黙ってあたしを見るだけ。 そうこうしてるうちに声がどんどん近くなる。 「お願い、逃げなきゃいけないの、放して!」 少し大きめな声で言うと男の人はにやりと笑ってこっちだとあたしを掴んで走りだした。 あまりの速さに転びそうになる。 「ちょ、待って、」 「お前何処まで行くんだ?」 「と、ととりあえず、西本願寺」 なんとかそこまで説明すると、あいきた、と快い返事をして走るスピードを速めた。 「ここで待ってな」