戸惑いながら後ろを向くと、既にそこには沙穂はいない.. もう!何処へ行ったのよっ! ついそう怒鳴りたくなりそうになってから再び前を向いた。 「どうかした?王麗さん」 なんで、よ。 なんでさんづけで呼んでるのよ.. 「見て欲しいものがあるの」 それから何故か分からないけれど、あたしは自然と言葉が出てきて。 教室の隅っこまで寄って、朝沙穂に見せた硯箱を拓登に見せた。 「これは..一体何処で見付けたんだ?」