「えぇ、とっても素敵な場所だったわ、今度未華も一緒に行きましょう!連れて行きたい所が沢山あるわ..」


うっとりしながら話すお母様。これはもう、あちらの世界に入りそうな勢いだわ。聞いてもらいたい話があるあたしはお母様の腕を引っ張って立ちあがらせた。


「お母様、来て下さい、お見せしたいモノがあるんです」



霧島に何処に行くか聞かれ、自分の部屋と答えるとそれ以上は何も聞かれる事もなく、また部屋まで付いてくる事もなかった。


「どうしたの、未華、見せたいものってなに?」


部屋に着いて早々、待ちきれないのかお母様が嬉しそうな声をあげる。

あたしは数時間前に手に入れた箱をお母様に見せた。


「実はコレ、なんです」


「あら、これはまた凄いわね..これを何処で?」


「近所の公園です、すごいでしょう?..でも」


「でも?」


「この中に入っていたのは手紙なのですが..よく分からなくて」


「文章が、ということ?」


「はい、誰宛なのかも分からないのです」


恥ずかしいお話なのですが..と続けると、お母様は何か閃いたようで


「それならば、拓登君に聞けばきっと分かるわ」

と笑顔で言い切ったのだ。