ゆっくりと、紙が破れないように一つ一つ綺麗に広げて行く。
そこにはテレビでしか見たことのない文面が綴られている。
「な、何考えてるの、あんた..」
「解読して、欲しいの」
「何で、そんな事..」
「だって、気になるし..それ以上に」
良く分からないし、あたしはその手紙を解読する事は出来ないけれど、でも何となく
本当になんとなく、誰かに何かを伝えたいっていう気持ちが込められてるように思う。
こんなくしゃくしゃにされた紙の奥に、大事そうに入れてあるくらいだもの。
「あたしは、この手紙を、届けたい」
つい手に力が入りそうになる。沙穂は呆れながらため息をひとつついた。
「いい?そんな事は無理なのよ、普通に考えてそうでしょ?大体いつのものよ、それ」
「だ、だって..」