その問いに答えるように、ゆっくりと箱の蓋を開けた。 「...なに、これ?」 「あたしにも分からないの。どうして硯箱にこんなものが入っているのか。そしてもう一つ見てもらいたいの」 箱の中にはたくさんのくしゃくしゃになった紙がぎっしり敷き詰めてあって。 あたしはそれを零れないように机の上に置いた。 そしてそのゴミ同然の紙の奥から、ただ一つだけとてもごみとは思えないモノを沙穂に見せた。 「なに、それ..」 沙穂に見せたモノ。 それは時代劇でもよくみる、手紙のようなものだった。