「そんなの、ぼくがそのきりさまさんにいってあげるよ!」
「でもたくと..」
「ぼくはそのままのみはなちゃんがすきなんだ!」
今思えば、何て幼かったんだろう。
でも幼いながらも必死に言ってくれた拓登の言葉は
あたしの宝物だった。
あたしを避けるようになるまでは...
「さてと、行きますか!」
上がティーシャツ、下は短パンという、動きやすい恰好に着替えて窓を開けた。
正攻法で出て行ったら絶対に誰かにつかまっちゃうもの。
脱出ルートは知っている。
カーテンをはいで(いつも綺麗に洗濯してくれるのにごめんね、島下さん!)
端っこを結んで下に流していく。
丁度よい長さになったのを確認してベッドに結び付けた。
おっといけない、手紙も書かなきゃ。
前に置き手紙なしで出て行ったら警察沙汰になったものね。