「コンコン。」

「はーいっ。」

執事さんかな?

と思って、ドアに向かって返事をした。

「俺だ。」

「あ、羽爾野森君?」

「入るぞ。」

相変わらず、かっこいい顔立ちをした、

あたしのクラスの人気者。

羽爾野森悠。

「どうだ?気に入ったか?」

「う、うん。」

「そりゃ、よかった。」

いやいや、この部屋が気に入らないとか・・・〔笑〕

ありえないっての。

「悪いな、いきなり許婚とか言って。」

「い、いえ・・・。ほ、本当なんですか?」

「あぁ。お前は俺の許婚みたいだ。慣れてくれ。」

無茶言わないでください。

っていうか、なんとなく敬語になってしまう。

「お前さぁ、そんなに固くなんなくてもいいから。」

「はい?」

「後、俺のことは“悠”って呼べ。」

・・・命令形っ?

こいつ、俺様系かっ?

「ほら、呼んでみろよ。琶炉?」

「悠。」

呼べって言われたなら、呼ぶけど。

悠の奴、なんか困った反応してる。

「お前、こう・・・。もっと照れたり出来ないわけ?」

「照れる?」

なんで、照れないといけないの?

「もうちょっと違う反応を期待したんだけどなぁ。」

残念そうにしてる、悠。

何こいつ。こいつも頭イカレてんの?

「じゃ、コレは?」

「何すんの・・・っん!」

悠の顔が、突然近づいてきて、

あたしの唇に、唇で触れる。

いわゆる、

“キス”

という行為だ。