「ほら、こっち向けよ。」

「やっ。ちょっと・・・。」

横を向いていたあたしの顔を、強引に悠のほうに向けられる。

そして、綺麗に整った悠の顔が、

どんどん、あたしの顔に近づいてきた。

今度こそ、ホントにキスされるっ・・・

あたしは、反射的に目を瞑った。

「チュっ・・・。」

悠がキスしてきたのは、あたしの唇じゃなくて、

いつの間にボタンを外されていたのだろう

首元だった。

こいつ、本気だったのかーーーっ!

「やっぱ、期待してたんじゃんww」

「悠のバカっ!してないってばっ!」

「へっ。どーだかぁ?」

そんなこんなしているうちに

女子の体育も終わったのだろう。

ドアの向こうから、複数人の女子の声がした

「ねぇ、あいつまだ中にいるかなぁー。」

「さぁ?メイドまで連れてたし、いないかもよ。」

「にしても、ムカつくね。羽爾野森君の許婚だなんて。」

「ホントホント。」

・・・性格悪いなぁ・・〔笑〕

中まで、丸聞こえですけど?

「早く着替えよ。次の授業遅れる。」

「急がないとっ。」

あぁ、もうギリギリなのね。

次の授業は・・・

えっと、数学だっけ?


がちゃっ。

ドアを開けようとしたんだろう。

そんな音が、更衣室に響く。

「あれ?開かないんだけど。」

「えっ!?うっそだぁ。」

「ホントだって。やってみ?」

ガチャガチャっ!

「「開かなーーーいっ!!」」

ガチャガチャうっさいなぁ・・・。

どんだけバカ力?