「はい、静かにしてー。」

がらっと扉が開いて、先生が入ってくる。

騒いでいた教室が、ちょっとだけ静かになった。

「今から自己紹介をしてもらいます。」

きたきた、お約束行事。

あたし、あんまり好きじゃないんだよねー・・・。

ポケーっと机に頬杖をついて、

自己紹介を聞く。

どんどん自分の番が迫ってくる感覚は、

どうも好きじゃない。

「舞川琶炉です。よろしくお願いします。」

・・・いってしまえば、

別に全然へーき。

女子が終わって、男子の途中になった頃、

「羽爾野森悠〔はにのもりゆう〕です。よろしく。」

という声が、教室に響いた。

・・・さっき騒がれていた、男子生徒だった。

こいつかっ!

羽爾野森の跡取り息子ってっ!

その瞬間

「きゃーっ!!」

と、女子の声?

悲鳴?

が、教室に響く。

あーっ!

鼓膜が破れるっ!

「琶炉っ!羽爾野森君だってよっ!かっこいいーっ!」

「うん。そうだね。」

あたしは、適当に返事をした後、

こいつなのか・・・?

と、心の中で考えた。