「もう行きましょう。」

と、メイドに声をかけて、

俺の前から立ち去ろうとする。

「・・・おもしれー奴。」

俺と執事しかいなくなった廊下に、

俺の呟きが響いた。


部屋にて。

「ホント、おもしれー奴だよなぁ・・・。」

と言いながら、部屋にある、ソファにバフっと腰をおろす。

「ずいぶんと気に入っているようですね、悠様。」

「はぁ?何がだよ。」

「あのように女性の方と、素で接しられるなんて仲がよろしいな、と思いまして。」

「別に。ふつーだろ。」

確かに、俺に会ったときも

ふつーの女共とは反応が違ったし・・・

多少は気に入ってるのかもしれないけれど。

執事にまで気づかれるほどだったのか?

「いい方ですね、琶炉様は。とても可愛らしいですし。」

「まぁな。」

可愛いには、可愛いよな。

ちっせー奴、嫌いじゃねーし。

あの性格も、結構好みだったりする。

「気を許してらっしゃるのでしょう?」

「あぁ。今まで会った女の中で、1番いい奴だしな。」

これは、本心だ。

素直じゃなくて、意地っ張りで、照れ屋で、強気で

それでも、まっすぐ俺の目を見てくる、あいつ。

「あいつよりも先に、俺が好きになっちまいそーだ。」

「いいのではないですか?琶炉様だって、まだ自覚していらっしゃらないだけなのですし。」

「そう・・・なのか?」

「悠様には珍しく、鈍感でございますね。」

執事が驚いたように、苦笑して、

俺を見ている。

この俺が“鈍感”だと・・・?

わけわからん。